EXCAS
「職務放棄は良くない。それは正しくないのでは」
「疲れや空腹で職務をこなせなければ意味がない。同じ職場にいる者に迷惑を掛ける。これは正しくない」
「む。」
「皆まで言うな。それは今職場に立っている者も同じ。だがそれは俺が戻れば済む事、一時的だ。しかし俺の場合は長期になる、失敗を掛ける時間が長い。対して必要な摂取の時間だけの汚点なら、どちらが正しい」
「……貴方の言う事には一理ある。その通りに伝えよう」
 言い包められる警備型EXCAS。これでいいのか。何より、騙す側の言葉を簡単に信じてしまっている。それもそのはず。クロトは幾度かショウに助けられている。自分の判断で行ってきた正しい。それが間違っていなくとも別の見方があると、教えたのが彼だ。
 人生経験がショウのおかげで大幅に成長したろう。だからこそ、彼の物言いを真剣に考え理解したのだろう。そして導き出した正しいに委ねたのだ。
 そう、例えそれが屁理屈であったとしても、
「貴方が言った言葉、そのまま伝えよう。そのくらいの罰則があってもいい」
「おいおい、それがお前の正しいなのか」
「そうだ。休憩時間、存分に取るがいい。そして存分に絞られろ。人間関係を円滑に進めるのも、また一つの正しいではないか」
 屁理屈と理解していても、また一つの正しいだから。
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