EXCAS
 レナ、TYPE00を狙ってきた。ステーション襲撃、消滅の理由は彼女にあったと思われても仕方がない。
 ショウは恨まない。筋違いだと理解しているから。
 だが大多数の人間はそう思わないだろう。やり場のない怒り、その矛先が向く事は容易に想像できた。
 発覚されたくないから、早く終わってくれと細心の注意を払って答えた。
 時間にして数分、怪しくはない難民として受け入れられ、これで終わりにしようと艦長は立ち上がった。
「艦長さん。難民の中で家族、娘と離れたという親はいませんでしたか。無茶な事を言っているとはわかるのですが、この子の親を探しているので」
「初日でわんさか来ましたからね。正直に言ってしまえば、覚えていませんよ」
 ここには何十人という難民が集まってきているのだ、誰かと離れたというなら間違いなく艦長に言い寄ってくる。
 それだけの人数を把握できたとしたら、軍など止めてその特技を活かした職で活躍できるだろう。
「ですが、そうした難民は一箇所にまとめています。あとで教えましょう」
「助かります。これ以上は迷惑を掛けられないので、あとは自分たちで」
「迷惑なら、必ずかける事になりますよ」
「……どういう意味だ?」
 自嘲の笑みを浮かべ、艦長はそう言った。
 表情がどうにも気になって、つい敬語を忘れてショウは問うた。
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