EXCAS
「――姉さんが、殺されたから」
イマ、ナンテイッタ?
――姉さんが、殺されたから。
殺サレタカラ。
殺サレ、
「殺された? 佐伯さん、が」
「そうだよ、殺されたんだ。逃げている途中で、ここに着いてすぐ」
「そうだよって、なんで平然としてられるんだ! お前、自分の姉さんが、身内が死んだんだぞ!?」
「わかっているさ! だから、ここで戦うと決めたんだ!!」
襟首を掴まれ怒鳴られた。殺意と怒りと、悲しみが同居した暗い瞳が目の前にある。本気で怒っている、そんな事さえ初めて見せられた。
「目の前で姉さんが燃やされた!」
本気で悲しんでいる、そんな事さえ知らなかった。
「目の前で姉さんが死んでしまった」
本気で殺意を剥いている、そんな事に、なってほしくなかった。
「誰かも知らない相手が、あいつらが戦争を起こしたせいで!」
次に続く言葉が出てこなかった。何を言ってもきっと届かない。
何を言ってもきっと復讐に身を焦がす。
それしかないから、そんな思いしか残ってないから。