マー君2(原作)
宮下一樹の章
マー君2(ネットワーク編)
宮下一樹の章

<1>

暗い−−。

なんて暗いんだろう。

青年は一人階段を下りていた。

石でできた螺旋階段を靴を鳴らしながら下りていた。

彼は肩までかかった黒髪に、闇に同化しそうな黒い学生服を着ている。

顔は色白で鼻が高く、口が小さい。

目はきつく、微かに前髪がかかっている。

一般的に整っている、女よりの顔をしている。

「ここは・・・・・・」

青年−−宮下一樹は幅の狭い壁に手をつけながら、ゆっくり階段を下りていく。

下から風が吹き付けているのか、ゴー、ゴーと巨人のいびきなような音が聞こえる。

その音に混じり、どこからかと子供の声が聞こえる。

『駄目だ、いっちゃ、駄目だ』

しかし、一樹は歩を止めなかった。

その声を空耳と思い込みたかった。

何故なら、下に何か大切な物がある気がしたから−−。

真実という答えが。

『駄目だよ、僕が、もう一人の僕が−−』

一樹は声を無視して一段、また一段階段を下りていく。

下に向かうにつれ風が強くなる。それにつれて子供の声も小さくなる。

もうすぐ下に着く。

そこに、俺の探していた何かがある−−。
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