マー君2(原作)
早瀬美代の章
早瀬美代の章
<1>
「でもさー咲子さんの警告って変わってない?」
美代は一樹と肩を並べて歩いていた。
学校近くで起きたマー君によるかもしれない殺人事件を調べてきて、その帰りだった。
と言っても何も収穫はなかったのだが。
「あの人は少しおかしいんだよ。まあマー君の熱狂的ファンっていうものは、あんな感じなんだろう」
「そーなのかなぁ? 優しそうな人だったけど」
「美代は外見で人を見すぎた。人は中身で見ろ。そうしないと痛い目に会うぞ」
一樹はそう言い退屈そうに空を見上げる。
もう夕暮れ時だった。
オレンジ色の日差しが、廃れた街路を寂しく照らしている。
美代は歩を緩め、そんな夕日に包まれた一樹の背中を見つめた。
一樹の言う通りなのかもしれない。
咲子さんも言っていた。
マー君は、ネットを通して人の弱い心に付け込む。
美代のような弱い心に。
それでも一樹を見ていたい。
一樹をもっと知りたい。
確かに外見しか見えていないのかもしれないけど、きっといつか一樹の中身を−−。
一樹の苦しみを理解したい。
偽りの仮面をつけている一樹を助けてあげたい。
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「でもさー咲子さんの警告って変わってない?」
美代は一樹と肩を並べて歩いていた。
学校近くで起きたマー君によるかもしれない殺人事件を調べてきて、その帰りだった。
と言っても何も収穫はなかったのだが。
「あの人は少しおかしいんだよ。まあマー君の熱狂的ファンっていうものは、あんな感じなんだろう」
「そーなのかなぁ? 優しそうな人だったけど」
「美代は外見で人を見すぎた。人は中身で見ろ。そうしないと痛い目に会うぞ」
一樹はそう言い退屈そうに空を見上げる。
もう夕暮れ時だった。
オレンジ色の日差しが、廃れた街路を寂しく照らしている。
美代は歩を緩め、そんな夕日に包まれた一樹の背中を見つめた。
一樹の言う通りなのかもしれない。
咲子さんも言っていた。
マー君は、ネットを通して人の弱い心に付け込む。
美代のような弱い心に。
それでも一樹を見ていたい。
一樹をもっと知りたい。
確かに外見しか見えていないのかもしれないけど、きっといつか一樹の中身を−−。
一樹の苦しみを理解したい。
偽りの仮面をつけている一樹を助けてあげたい。