マー君2(原作)
<2>

あれはなんだったんだろう。

美代は自室のベッドの上で天井を見上げたまま横になっていた。

さっき帰宅中に不思議な物をみた。

女の人−−。

顔は見えなかった。

けど、知っている気がした。

どこかで見たような。

「何だったんだろう、あれ」

幻覚だったのかな?

調べたけど誰もいなかったし。

でもあの女の人何か言っていた気がする。

「恐れるな、自分を信じろ。でなければ、悪夢に飲み込まれる、かぁ」

あの女の人はそう口走った。

「信じろ、か」

美代は枕元に置いてあったリラクマのぬいぐるみを掴むと、胸の中に抱きしめた。

「私って、何したんだろう・・・・・・」

天井を見上げていても、頭の中に浮かんでくるのはよく知る顔だけだ。

一樹の微笑む顔だけが−−。

「一樹は、私のこと嫌いなのかなぁ。それとも−−」

後者はありえないか。

一樹は私のことなんてどうでもいいんだろうな。

自分しか見えてないからなぁ、一樹は。

でも、そんな一樹だからこそ、私は。

好きになったのかも。
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