きらいだったはずなのに!
1.きらいなもの
あたし、杉浦茉菜には、きらいなものがある。
「おう、杉浦。お前赤点。よって、放課後の補習決定な」
「げぇ~っ! またあ!?」
たった今、担任から伝えられた言葉。
これはあたしにとって、死刑宣告とも言える。
心底嫌そうに顔を歪めてみせると、担任は呆れた顔をしてため息をついた。
「杉浦、“また”ってのはこっちのセリフだ。お前赤点とり過ぎ。一年のうちからこんなんじゃ、いざ進学したいって思った時には手遅れだぞ?」
……それを言われるとなにも言い返せない。
手元の答案用紙数枚。
どれもバツ印ばっかりで、見てられないほど悲惨。
いや、自分の答案なんだけどさ。
まさかのオール・レッドポイントです、はい。
自分のバカさに、さすがに賞賛を与えたくなるレベルだよね、これは。
……そう、あたしは勉強が大の苦手!
というよりも大きらい!
勉強って全然楽しくないし、わからないから超つまんない。
そんなあたしは、入学してからもう何度目かわからない赤点をとっているわけでして。
先生たちの間であたしは問題児化しているらしい。
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