きらいだったはずなのに!
「ゔわあああん! 桐島さあん! ばかああああ」
「はっ!? いやいや、意味わからんし。どうしたよ?」
「桐島さんが悪い! ぜーんぶ桐島さんのせいだー!!」
この気持ちの捌け口がわからないアホなあたしは、桐島さんの胸をどんどんと叩いた。
八つ当たりもいいところだけど、悠斗に似ている桐島さんが全部悪いと思う。
彼は意味が分からないだろう。
いきなり泣き出したかと思えば自分が悪い、なんて責められて殴られて。
あたしが桐島さんの立場だったら、なんだこいつって思うよ、絶対。
「……はいはい。まあ、そんな日もあるよな」
……それなのに、桐島さんはブサイクな泣き方しているあたしの頭を、大きくて骨ばってて少しだけ冷たい手で優しく撫でてくれた。