きらいだったはずなのに!

 けれど、そんなあたしの儚い願いは、あっけなく崩れ去るわけなんだけど。


「二か月くらいしか付き合ってなかったけど、あたしはすごく好きでさ。でも、バカ女とか、バカがうつるって、友達に話してるのを聞いちゃってさ」


 あたしは悠斗のことが大好きだった。


 だから余計につらかったし、許せなかったし、ショックだった。


 別れたあとに、何度か友達と騒ぎながら笑っている悠斗を見かけた。


 あたしと別れてからもお調子者なのは変わっていないみたいで、ひどい点数の答案用紙を友達に見せながら、大口開けて笑ってた。


 それを見て、思ったんだ。


 きっとこのままでいたら高校も悠斗と同じところに行くことになって、悠斗を気にしながら生活する日が続くことになるんだ、って。


 悠斗はあたしのことなんて、もうなんとも思っていないのに。


「けっこうくだらない理由で高校決めたんだよ。バカでしょ?」


 自虐して、笑ってみせた。


 頭の中にはまた、『あんな女やめとけよ! バカだし~! バカがうつっちまうぞ!』って笑う、悠斗の声が響いた。


< 106 / 276 >

この作品をシェア

pagetop