きらいだったはずなのに!

「実は今日、そのうわさの元カレに会ったんですよね」


「……へえ~、で?」


「なんか、言いたいことがある、って」


「……ヨリ戻す的な?」


「……いや、そういうのじゃないと思うけど」


 ……思う、けど。その可能性も捨てきれないのはたしかだ。


 あたしに声をかけたとき、どれだけ悠斗は勇気を振り絞ったのだろう。


 だって、声が震えてた。


「……もしヨリ戻したいって言われたら戻すの?」


 相変わらず視線は机の上の参考書に落としたまま、桐島さんはあたしにそうたずねた。


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