きらいだったはずなのに!

「大好きだったことに変わりはないけど、ひどいこと言われてるんで。ヨリ戻すとかはないです、たぶん」


「たぶんかよ」


 うん。だってあたし、情に訴えかけられると弱いんだもん。


「ヨリなんて戻すなよ。せっかく俺がかわいがってやってんだから」


「はああ!?」


 そう言って桐島さんは悪戯っぽく笑いながら、あたしの黒くて短い髪に触れた。


 なにそれ、意味がわからない! ていうかセクハラね!


 それにあたしはおもちゃになった覚えなんて一ミリもないけど!?


 そう言葉にしたいのになぜかできなかった。


 桐島さんの手が触れた髪に熱がこもっている気がして、唇がわなわなと震えているのが自分でもわかった。



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