きらいだったはずなのに!

 なんとか桐島さんの手を払いのけて、彼を思いっきり睨みつける。


 顔がいいからって、なんでも許されるわけじゃないから!


「あはは、猫みたい」


 フーフーと鼻息荒く桐島さんを睨むあたしの姿は、どうやら彼の目には猫に見えているらしい。


 ちびだからって小動物に例えるなんて、失礼なやつだ!


 ぷんすか怒っているあたしを見る桐島さんの目は、意地悪そうに細められている。


「アメショみたい」


「急になにっ? 髪がショートだから?」


「アホか、そんなわけねーだろ。猫の中で一番かわいいから」


「……はっ!?」


「ぶはっ、アホ面~」


 からかわれてるだけってわかってるのに、『かわいい』なんて面と向かって言われると動揺する。


 ……あ、かわいいのは猫で、あたしじゃないか。


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