きらいだったはずなのに!
「いや、けどこれはマジな話だけど、ショートヘアが似合うのって元がかわいい子って言わない?」
おまえはショート似合うよな、と思わせぶりなことを言ったかと思うと、またしてもあたしの髪に触れてきた桐島さん。
……チャラっ!
「急になんですか! ってか触んないでもらえます? そんなことより、そうやって思わせぶりなことするのやめた方がいいですよ!?」
「思わせぶり、って思ったんだ?」
そう言ってにやにや笑う桐島さんの真意に気がついて、あたしは頬に熱が集まるのを感じた。
「腐っても顔がいいんだから、そりゃあそういうこと言われたらちょっとはドキドキするでしょーが!」
幼気な高校生をこれ以上おちょくるのはやめてほしい。
それにこんなこと続けられたら、単純なあたしは桐島さんのことを好きになってしまうかもしれない。
……ないか。
というか、本気で好きになられても、桐島さんは困るだろう。