きらいだったはずなのに!
中学の頃、茉菜との待ち合わせはいつだってマックだった。
外はまだ肌寒かったのに、毎回柔らかい素材のスカートを履いて、首筋丸見えのポニーテールで鼻を薄っすら赤くしながら俺のことを待っていた。
俺が待ち合わせの時間ちょうどに来ても、いつだって茉菜は先に待っていて、笑顔で『おはよう』なんて言ってくれた。
女子の髪型は、ポニーテールが一番かわいいと思っていた。
当時はまっていたアイドルがポニーテールだったから、っていうのもあると思う。
流されやすくて、お調子者で、バカで。
そんな俺は、ショートヘアなんて邪道、やっぱりかわいいのはポニーテールでしょ、なんて言って友達と一緒に笑ってた。
小学校の時は足の速いやつ、中学校では面白いやつがモテるってどこかで見たけど、俺はその典型だったように思う。
笑いを取るのが好きだった俺は、クラスの女子から人気があると知っていた。
だからわざと大きな声で好きな髪型はポニーテールだなんて言って、周りの女子の反応を見てた。
我ながら小賢しいし、性格が悪いとさえ思う。
そうやって、誰が自分を好きなのかを探ろうとしていたんだから。