きらいだったはずなのに!
小柄でかわいくてさらに性格まで良いとくれば、当然ながらにモテる。
茉菜も例に漏れずそうだったけど本人の鈍感さがさいわいしてか、誰かと付き合うだとかそういうことはなかった。
告白なんてする勇気もなければ、この関係を壊したくもない。
だけど茉菜の気持ちを計りたかった俺は、茉菜が近くにいるのを確かめてから、また友達と好きな髪型の話をした。
当時の茉菜はストレートの髪をおろしたままだったから、これで髪型が変われば少しは脈があるのかもなんて、期待したんだ。
そのあとから茉菜が髪を気にしている仕草が増えたけど、髪型は変わることはなかった。
茉菜にとって俺はただの友達でしかないんだとしばらく気落ちした。
席も隣り同士じゃなくなって前より話すことも減り、茉菜のことを半分くらい諦めかけていたときだった。
学年が変わる二、三か月前、それまでずっとおろしたままだった髪を、茉菜は突然ポニーテールにした。