きらいだったはずなのに!
学年が変わる前に付き合って学年が変わってすぐに別れた俺たちは、付き合った期間こそ短いけれど、そこに至るまでがだいぶ濃かったと思う。
休みの日には必ず出かけてたし、話題は尽きなかったし、仲は良かった。
周りから冷やかされるようになってから、学校で話すこともメッセージのやり取りも減っていったけど、それでも茉菜は変わらず俺のことを好きでいてくれていると思っていた。
それこそが自惚れだったのかもしれないけど。
だから、わからないんだ。
なんであの日、突然別れを切り出されたのか。
俺が好きだと言った、長い髪を切ってまで——。
クレープの屋台に着くと、茉菜は店主のおばちゃんと仲良さげに話し始めた。
おばちゃんは少しうしろにいる俺を見て「彼氏?」なんて笑いながら茉菜に言うけど、「あたしに彼氏なんてできるわけないじゃーん!」なんて、笑い飛ばしていた。