きらいだったはずなのに!

 そんな俺の様子を見て、茉菜がため息交じりに呟く。


「じゃあ、あたしから話してもいい?」


 その言葉に頷いて答えると、ベンチに座ったまま前だけを向いて、茉菜がぽつりと口に出した。


「……中学のとき、さ。悠斗、あたしのことちゃんと好きだった?」


「は……?」


 自信なさげに放たれた言葉は、俺の意表を突いた。


 好きだったから、付き合ったに決まってる。


 それは茉菜もわかっていると思ってた。


 だから俺は、あの日突然振られたことがショックで、二年経ったいまでもこんなに茉菜のことを引きずっているのに。


「悠斗に昨日話したいなんて言われなければ、聞くことなんかきっとなかったんだろうけどさ。あたしもいつまでも引きずってたくないから」


 そう続ける茉菜に、呆けたままの俺はすぐに答えることができなかった。


 そんな俺に再度「ねえ、ちゃんとあたしのこと好きで付き合ってくれたの?」と、茉菜が問う。


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