きらいだったはずなのに!
昨日会ったのは偶然じゃなく、またやり直せるようにと神様が与えてくれたチャンスなんだと、そう思ってた。
「でも、たとえ嘘だったとしても、そんなこと好きな人に言われたくなかったよ」
震える声で茉菜が小さく呟いたから。
きっといくら謝っても、想いを告げても、あの頃に戻れる日は来ないんだろう。
だけど……。
「……振られたあの日から今日までずっと、茉菜のことが忘れられなかった」
茉菜が俺に未練なんてないことは、とっくに気付いてしまった。
短い髪のままなのも、失恋から立ち直れていないわけじゃなく、俺に嫌悪しているから伸ばさないのだと。
それほど傷つけていたんだと、いまになって気付いたんだから。
けれど、ここで言わなきゃ俺は一生後悔し続ける。
「茉菜のことが好きだ」
手に握ったままだったクレープの包装紙がくしゃっと音を立てた。