きらいだったはずなのに!
ちらりと横目で右側を見上げると、夕日に照らされた金髪が光っていた。
前髪の隙間から見えた目は優し気で、左目尻の泣きぼくろが、あの頃を思い出させる。
いつでも車道側を歩いてくれたこと、いつでもあたしを笑わせてくれたこと。
あたしはきっと、もう悠斗を好きになることはないんだと思う。
あの頃些細な言葉で全部が苦くなってしまった思い出を、こうして少しは優しい気持ちで思い起こせるようになったから、それだけで許してくれないかななんて心の中で思った。
あたしはもう、大丈夫だ。
この短い髪もほんとの意味で好きになれる日は近いんだろう。
髪を見ても悠斗を思い出さない日も。