きらいだったはずなのに!
なぜかお互い複雑そうな表情をしていて、間に挟まれたあたしはおろおろとふたりを交互に見つめることしかできない。
「あー……、一応紹介しとく。弟の悠斗、な」
重い空気の中、桐島さんが口を開いた。
改めてそう言われると、確かに似ている気がする。
いままでにも桐島さんのことを悠斗に重ねて見ちゃったことが何回もあるけど、それは桐島さんと悠斗が本当の兄弟で似ていたから、なのかもしれない。
よく見てみると切れ長の目元はそっくりだし、背格好も似ている。
兄弟だと言われれば、そうなんだと納得できるくらいだ。
あまり信じたくはないけれど。
……でも、名字が違う。
悠斗の名字は松本、だから。
きっとなにか事情があるんだろうと思いつつも、こんな時にどういう反応をしたらいいのか、あたしにはわからなかった。