きらいだったはずなのに!
「そういえば、チーズは元気?」
「チーズ、って?」
「ああ、うちで飼ってる犬。ほら、このアイコンの」
そう言って悠斗はメッセージアプリのアイコンをあたしに見せてきた。
前に桐島さんが言ってたあたしに似てるトイプーは、この子のことだったみたい。
その子はふわふわでつぶらな瞳がチャーミングな、かわいい子。
……あたしに似てなくない?
だってこんなにかわいくないし。
「ほら、やっぱりちょっとおまえに似てない? な、悠斗」
「いや、似てない。茉菜はこんなにかわいくない」
「ちょっと、ひどくない!?」
そんなふうにいくつか会話のやり取りをするとやっと日も落ちてきて、気付けばあたりは濃い夕焼け色に染まっていた。