きらいだったはずなのに!
『正直私は恋とかしたことないからよくわからないけれど。好きって思うのなら、それだけで理由は十分なんじゃないの?』
『そうかなあ……』
ミヤコちゃんの言うことの半分はわかるけど、半分はうまく理解できなくて曖昧に返事をした。
『それよりも聞きたいんだけど、その家庭教師の人って二十二歳よね? そもそも彼女とかいないの?』
『あ……』
ミヤコちゃんにそう言われて、大事なことを忘れてたことに気付く。
というよりも、気付きたくなかっただけなのかもしれない。
前に茶髪ウェーブの美人な人と腕を絡ませて歩く桐島さんを見たことがあったけど、普通に考えたらあの人が彼女なんじゃないのかな。
もしも彼女じゃなかったとしても、あの桐島さんのことだ。
あれだけ外面が良くてかっこいいんだから、大学ではさぞかしモテているに違いない。
あんなふうに綺麗な人が、きっと周りにはいっぱいいるんだろう。
そもそもちんちくりんで子供っぽい高一の小娘と桐島さんとじゃ釣り合うわけないし、告白するのさえ図々しい気がする。
……それに、あたしが告白したところで冗談だって思われそうだ。