きらいだったはずなのに!

 大学に入って唯一楽しかったことといえば、アルバイトだろうか。


 これまでやっていたコンビニバイトを辞めて、今年の6月から新たに始めた家庭教師のバイトが、俺のターニングポイントのようにも思える。


 そこで出会ったのが、いままで関わることのなかったタイプの女の子、杉浦茉菜だった。


 その子はこう言っちゃなんだが、ものすごくバカだった。


 黒髪のショートヘアが似合う、丸い目をしたかわいい子。


 所見では、正直担当になれてラッキーくらいには思ってた。


 こんなかわいい年下の子と知り合う機会なんてそうそうない。


 小柄で華奢だしモテるんじゃないかと思った。彼氏もいるんだろうなと。


 けれど、黙っていれば賢そうなのに、口を開いたらとんでもなかった。アホの子だった。

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