きらいだったはずなのに!
「まあ、及第点かな」
「……?」
そう言った桐島さんは一息ついて、プリントを綺麗に束ねてからあたしに差し出した。
きゅうだいてん、ってなんだ?
意味が分からずぼけっとしていると、大きなため息を吐いた桐島さん。
「一応合格ってこと。それくらいわかれよ。つーか、辞書引けとは言わないから、わからないことはなんでも調べる癖付けろよな。スマホでもなんでも使っていいから」
「はーい……、って、一応合格? あたし意外と問題解けてた?」
「基礎問題はあらかた解けてた。あとは応用な」
そう言った桐島さんは、あたしが間違えてたところの問題をピックアップして、わかりやすく解説をしていく。
「おまえはさあ、要領悪いだけだから、こうやって一から十まで順番にがっちり教えてやればちゃんとわかるんだよなあ。もったいねーから頑張れよ。パターンを覚えろ、パターンを」
ひとり言のようにぶつぶつと言いながらも桐島さんの手はサラサラと動いていて、あたしはそれを目で追うのに必死だ。