きらいだったはずなのに!
「はい、んじゃ今の説明でおまえが解けなかったこれができるはずだから、やってみ」
ずいっとあたしの目の前に出されたのは、あたしができなかった問題の数学プリントで、内心うげっと思う。
だって、数学が一番苦手なんだもん。
……というか、全部赤点取るようなアホの極みのあたしが合格点だったなら、ご褒美ねだってもよくない?
いいよね?
「……これ解けたらご褒美くれません?」
なんて、絶対無理だってわかってるけど、茶目っ気たっぷりに言ってみた。
だって、言わなきゃもらえるもんももらえないから、物は試しだ。
まあ軽く流されて終わりだろうな。
そう思ってたら、桐島さんは片方の眉を上げてこっちを見る。