きらいだったはずなのに!
桐島さんが行ってる大学、授業料がとんでもなく高いって有名だ。
もしかしてこの人って、とんでもなくハイスペック男子?
そんな人があたしのカテキョって、天と地の差だ。
正直かなりへこむ。
それにしても、どこかで見たことがある気がするんだよね、桐島さんの顔。
芸能人顔負けの美形だし、もしかしたら似てる俳優さんとかいたかな?
そう思って記憶を手繰り寄せるけど、全然思いつかない。
「……ということで、大丈夫かな。茉菜さん?」
「へっ?」
やばい、話全く聞いてなかった。
ここはとりあえず返事しておくに限る。
怒られるのを承知で、桐島さんが帰ったあとにお母さんに説明してもらおう。
「だ、大丈夫です……?」
あたしがそう言うと、桐島さんは僅かに目を見開いた。
あたし、なにかおかしなこと言ったかな?
不思議に思って首を傾げるも、その理由はわからなかった。