きらいだったはずなのに!

「それで、プールは行く?」


「行ってみたいです!」


 こっちの様子をうかがうような問いかけに、こんなイケメンから誘われて断る女子がいるのなら見てみたい。


 もちろん間髪入れずに即答で返事をすると、「勢いよすぎだろ」なんて笑われた。


 そうと決まればミヤコちゃんにも連絡しなくちゃ!


 わくわくしながら急いでミヤコちゃんのトーク画面を開く。


 すると、スマホを持つあたしの手に桐島さんの大きな手のひらが重なった。


 その手のひらの熱さにびっくりして、反射的に手を引っ込めて桐島さんを見つめる。


「えっ、ななななんですか……っ!?」


「だけど、すぐじゃなくて課題全部終わったらな。そのご褒美」


 あたしのどもった声にまったく動じない桐島さんの言葉に叫ぶ。


「えー! あたし、あの難しい問題ちゃんと解いたのに!?」


 ってことは、夏休みが終わるギリギリまで、おでかけはおあずけってことだ。
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