きらいだったはずなのに!
「……じゃあ、課題頑張るんで。約束ですよ、絶対」
「おう、絶対な」
口約束だけど、それだけでも嬉しいものなんだな。
そう思っている間に、桐島さんは帰っていった。
ひとりになったあたしの部屋は、桐島さんがいなくなると急に静かになる。
それを寂しいと思う日が来るなんて、最初の頃は想像すらしていなかった。
「そうだ! ミヤコちゃんに連絡っ!」
隙間風が吹く心の隙間を埋めるように、さっきまでの興奮がさめないうちに、急いでスマホを取り出した。
文字をタップするあたしの指先はなぜか少しだけ震えていて、さっき触れた固く骨ばった大きい桐島さんの手を思い出して、あたしはまた顔が熱くなるのを感じる。
ピンクにまみれたこの部屋があたしの心情をそのまま表しているようで、桐島さんに気持ちがばれていないかななんて心配しながら、もっと桐島さんに見合うように大人っぽくお部屋を改造しようなんて心に決めた。