きらいだったはずなのに!
「それでは来週から、夕方六時に参りますので。よろしくお願いいたします」
四十五度のお辞儀とともにそんな言葉を残して、桐島さんは帰って行った。
……疲れが今になって押し寄せてきた。
「いやあ、桐島さんほんとかっこよかったわねえ!」
あたしとは対照的に、10歳は若返ったんじゃないかってくらいイキイキしちゃってるお母さんを見て、さらにため息が漏れた。
来週からか。
これからあたしに、地獄の毎日が……っ!
「そうだ。あんた、来週までにちゃんと部屋片付けておきなさいよ?」
「は? なんで?」
カテキョとあたしの部屋と、なんの関係があんの?
そう言うと、お母さんは見るからに呆れた顔をして、あからさまに大きく息を吐き出した。
「なんでってあんた。来週からあんたの部屋で勉強教えてもらうからに決まってんでしょうが」
「はあ!?」
なにそれ、あんな足の踏み場もない部屋で勉強するって?
いつ決まったの、そんなこと。
「あんたさっき自分で、“大丈夫です”ってはっきり言ってたでしょ。じゃあ、頑張りなさいね~」