きらいだったはずなのに!
「じゃあ、そうさせてください……」
何度真っ赤にすれば気が済むのかわからないあたしの頬は、きっとまた真っ赤になっているはずだ。
「ん、しっかりつかまれよー」
なんでもないことのようにそう言う桐島さんの広い背中にそっとしがみつく。
「……女子高生と合法密着ですね」
照れ隠しでそう言うと、「言うなよ、犯罪臭がするだろーが」と怒られた。
桐島さんの耳もちょっとだけ赤かったのは、きっと見間違いだよね。
「じゃあいくぞー」
「えっ、あっ! ぎゃーーーーー!!!!!」
桐島さんにドキドキしていたのも束の間で、急な合図とともにあたしの体は勢いよくスライダーを滑り始めた。
想像よりはるかに速いスピードでどんどん下へとくだっていく。
水しぶきが激しくて、ぎゅっと目をつぶりながら必死で桐島さんにしがみついていた。
下に着くのはあっという間だった。
気付けば必死で掴んでいたはずのあたしの腕は何も掴んでいなくて、あたしは深い水の中にいつの間にか投げ出されていた。