きらいだったはずなのに!
「……茉菜、桐島さんといい感じじゃなかった?」
「……やっぱり、そう思う?」
隣り同士で座席に座って開口一番にミヤコちゃんが言った言葉に、はたから見てもそうなんだと、あたしの勘違いじゃなかったことを確信する。
「さっさと告白しちゃえばいいのに」
さらっとミヤコちゃんはそう言った。
うん、あたしもそう思うよ。
けれど頭にどうしても引っ掛かるのは悠斗のことだ。
煮え切らないあたしの態度に、ミヤコちゃんはこれ見よがしに大きなため息を吐いた。
「そうやって二の足踏んでる間に取り返しのつかないことになっても知らないわよ」
「……ご忠告どうもありがとう」
ミヤコちゃんが心配して、心から応援してくれているのもわかってる。
でも、『だけど』が頭の中を飛び回るんだ。
「茉菜、本当に後悔しないようにね」
電車を降りる直前、ミヤコちゃんにそう言われた。
早くもそんな日が来るなんて、いまのあたしは想像すらしていなかった。