きらいだったはずなのに!
帰ってからすぐさまテストのことを報告すると、お母さんは予想通り飛び上がって喜んでくれた。
目をうるうるさせながら喜んでいる姿を見て大げさだなあって笑ったけど、それくらい嬉しかったんだと思うともっと頑張らなきゃなって気持ちになった。
今日の指導の時間で桐島さんを交えて話をすると言うお母さん。
きっとお礼でも伝えるんだろうって呑気に構えていた数時間前までの自分を恨む。
「えっと待って。指導日減らすって、聞いてないけど」
「茉菜、ごめんね……」
申し訳なさそうに謝ったお母さんの顔からは、数時間前に見た笑顔が消えていた。
「まあ、授業料高額ですからね。それに、いまの茉菜さんを見たらお母さまが安心されるのも納得できます」
寝耳に水だった。要約するとこうだ。
いままであたしのためにと家庭教師をつけてくれていたけど、思っていた以上に料金が高額で困っていたこと。
あたしの成績が伸びているし、勉強の癖がついただろうから週四日から週一日の契約に変更したいということ。