きらいだったはずなのに!
「で、話って? ……まあ、大体想像はつくけど」
邪魔にならないように壁際に移動してすぐ、悠斗は口を開いた。
あたしは何度も頭の中で練習してきた言葉をもう一度だけ反芻する。
決意が鈍らないように、傷つけることを覚悟して、今日ここに来たんだから。
ぎゅっと握った拳の中で少しだけ伸びた爪が皮膚に食い込むのを感じながら、まっすぐ悠斗を見据えた。
「あたしのために、もう頑張らないでほしい。……あたしを、諦めてほしい」
頑張りたいと言った悠斗にまた告白される前に自分から振るなんて、かなりひどいことだと思う。
けれど、もう終わりにしたいんだ。
悠斗は乾いた笑い声を出して、「かなりはっきり言うじゃん」ってあたしから目を逸らして言った。