きらいだったはずなのに!
「まあ、振られることくらいわかってたけど」
「……ごめん」
「わかりやすいもんなあ、茉菜は」
そう言って悠斗は、今度はじっとあたしの目を見つめてきた。
「……で? 兄ちゃんを好きになった?」
「やっぱり、それもふつうにわかっちゃうよね」
苦笑いを浮かべる悠斗にあたしも気まずくなって、同じような笑みを浮かべた。
「わかりやすすぎ。プールの時に俺への態度と違いすぎてさすがにわかったわ。……茉菜は、ああいう感じだったもんな。好きなものには全力投球って感じで。俺と付き合ってた時も……」
そう言いかけてやめた悠斗は、過去のことを思い出しているみたい。
あたしも、たまに思い出したりするよ。
そんなこと教えてあげないけどさ。