きらいだったはずなのに!
「兄ちゃんに告白でもすんの?」
「……しようと思ってるから、悠斗のことをはっきりさせたいと思って今日呼んだの」
「まあ、そうだよなあ」
壁に寄りかかりながら空を見上げた悠斗の横顔は、やっぱり桐島さんにどこか似ている。
こうしてなんでも桐島さんに結び付けてしまってるだなんて、悠斗にばれたら怒られそうだ。
「茉菜はさっき、自分のために頑張るなって言ったじゃん。俺はさあ、俺の為にいままで頑張ってただけだったよ」
壁際に寄りかかっていた悠斗はあたしの前に立って、ぽんと頭をひと撫でしてきた。
「諦めてやるよ、茉菜のこと。応援はできないけど」
そう言ってあたしの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
されるがままになっているあたしを見て、悠斗は切なげな表情を浮かべている。
「俺ら、これから会うことなんてきっとなくなるよ。兄弟なことに変わりはないけど、実際もう戸籍は違うしさ。……だから、俺の兄ちゃんだからって気にするの、もうやめろよな」