きらいだったはずなのに!
振られたら慰めてやるよとさいごに笑って、「じゃあな」と悠斗が言う。
きっと、本当にこれがさいごになるんだ。
「……うん。じゃあね」
いままで、帰る時の挨拶は「またね」だった。
もうそれを言える日が来ないことに少し寂しさを感じながら、恋愛ってこういうことなんだなあと身にしみて感じる。
いつもより小さく見える悠斗の後ろ姿に心の中でもう一度お別れを言って、あたしも帰路につく。
傷心の悠斗のことは、たぶんミヤコちゃんがなんとかしてくれるだろう。
これでもう、桐島さんへの気持ちだけに向き合っていける。
でも、これからあたしも悠斗と同じように傷付くかもしれないんだよね。
告白していままでの関係を変えるって、そういうことなんだ。
それでも、言わなきゃ変わらないのなら、あたしは言う。
傷つくのを怖がってるだけじゃ、前に進めないから。
沈んでいく夕日に、あたしは心に誓う。
桐島さんに、今度こそ想いを伝える、って——。