きらいだったはずなのに!
そんなことを繰り返しているうちにとっくの昔に年を越え、クリスマスまでに彼氏ができたらいいねと言っていたその日もとうに過ぎ去り、いまはもう一月の下旬だ。
三月の二週目の金曜日が桐島さん最後の指導日で、指折り数えてみたらその日を含めてあと六日だった。
その事実を受け入れられないというよりもまだ全然実感がわかなくて、この日々がずっと続くような気がしてしまう。
告白をしなきゃって思うけれどそこまでの焦りがないのも、あたしに実感がまだないからなのかもしれない。
「なに、またなんか悩んでんの?」
ぶっきらぼうだけど心配するような声色で、桐島さんが声をかけてくる。
顔を上げると、頬杖をつきながらこっちを見ている桐島さんと目が合った。
「桐島さんがあたしのこと気にかけてくれるなんて珍しいですね」
からかうような口ぶりで、茶化すようにわざとそう言った。
だって、ここ最近は勉強のこと以外会話してないから、ほんとにそう思っちゃったんだもん。