きらいだったはずなのに!
「約束、してほしいんです。あたしが卒業したら、キスしてくれる、って」
卒業するときには、あたしは十八歳になっている。
それならいいでしょ……?
背の高い桐島さんを懇願するように見つめると、「だから、そういうとこだって」と言われたけど、そのあとすぐに優しい笑顔で「約束な」と言ってくれた。
「桐島さん、ちゃんと我慢できますかね?」
「おまえが煽ってこなければ」
「あはは! あたしにそんなことできませんってば!」
「はあ……、無自覚こわ」
頭を抱えてそう言う桐島さんだけど、あたしにはなんのことだかさっぱりわからない。
けれど、いまはきっとそれでいいんだと思う。
だってこんなにも嬉しくて、幸せだから。