きらいだったはずなのに!
「ぜんっぜん受かる気がしないんですけど……」
机に突っ伏しながら弱音を吐くと、桐島さんの呆れた声が飛んでくる。
「おまえ、本番であがらなければ大丈夫だと思うんだけど」
「そんなこと言われたってえ~」
あたしは半泣き状態だ。
実は給費生試験の日、初めての受験に緊張しまくっていたあたしは受験票を忘れるわ、消しゴムを忘れるわ、時計を忘れるわで散々だった。
おまけにぱっと見すぐにできそうな大問三からやったのに、解答用紙欄はひとつずれたところに記入して、それに気付いたのは試験終了間近っていう、なんとも惨憺たる出来栄えだった。
極度の緊張って人を簡単にだめにするんだなって思った瞬間だった。
その時のことがトラウマになっているあたしは、ことあるごとにめそめそ弱音を吐いては桐島さんに慰められる日々を送っていた。