きらいだったはずなのに!

 そう思いつつ先に階段を上って、桐島さんをあたしの部屋まで案内した。


 男の人を自分の部屋に招き入れるのってちょっと緊張。


 だってこれから、ふたりきりでいるわけでしょ?


 目的は勉強だってことは、もちろんわかってる。


 だけど、こんなかっこいい人と密室で勉強って、ドキドキしないわけがない。


 脂ぎったおじさんってのも別の意味でドキドキしそうだけど、桐島さんはレベルが高すぎて恐れ多い。


 “Mana's room”と書かれた木彫りの札がかかった部屋の前に立って、一度大きく深呼吸。


 ドアノブを持ち、ゆっくりと押し開けた。


 目の前に広がるのはピンクと白を基調とした、姫系の部屋。


 あたしの趣味が詰め込まれた部屋。


 掃除のついでに模様替えもした。


「えっと、どうぞ。入ってください」


「……どーも」


 ん?


 そう言ってすたすたと中に入った桐島さんに、なんだか違和感。


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