きらいだったはずなのに!

 それに、あたしよりピンク似合うし。


「……って、そうじゃないでしょ!」


「は? いきなりなに? うるさいんですけど。下に聞こえるだろ、静かにしろよな」


「ここ防音だし!」


「あ、そう。ならいいんだけど」


 あたし、楽器弾いたりするから。


 バカだけど、それだけは趣味でね。


 近所迷惑にならないように防音加工なんだよ、へへっ!


 ……いや、だから違うでしょ。


 そうじゃないでしょ、あたし。


 なにこれ、目眩するんだけど。


 とりあえず、あれだ。


 ……目の前にいるお兄さんは、誰?


「おまえ、全部口に出してるって気付いてる? それに、俺の名前も覚えられないくらいアホなわけ? ま、知ってるけど。ふっ」


「はい!?」


 今この人、鼻で笑ったんだけど!

< 29 / 276 >

この作品をシェア

pagetop