きらいだったはずなのに!
「おい、おバカさん。おまえがそうやってる間に時間がどんどん過ぎていくんだけど? さっさと勉強するぞ」
……勉強?
あたしが、誰と?
桐島さんと、ってことだよね。
この部屋で、ふたりで。
マジでありえないから!
悠斗に似てるって気付いてから、嫌悪感が最高潮に達した。
こんな人と大きらいな勉強なんてできるわけない。
無理だよ、無理。
大きらいな人種と、大きらいな勉強。
ダブルパンチ、一発KO負け。
あたしの負けでいいから、この人に勉強教わるのだけはどうしても我慢できない。
「……無理です」
「は?」
ぽつりと呟いたあたしの言葉に、桐島さんは反応した。
声でちょっとイライラしてるのがわかるけど、そんなこと気にしてられない。
だって、騙されてたわけでしょ?
最初からこんな人だって知ってたら、カテキョの契約なんて組まなかった。