きらいだったはずなのに!

 だったら、油でべとべとの優しいおじさん選ぶわ。


 いや、油ギッシュはほんとはいやだけど。


 とにかく、いくらイケメンで頭が良くても、この人だけはぜっっったいに無理。


「だから、あなたから勉強教えてもらうのが無理だって言ってんですよ! というか、絶対いやです。ほかのカテキョ探して、桐島さんとの契約はなかったことにしてもらいます!」


 いくらお母さんでも、あたしが死ぬ気で説得すればわかってくれるはずだ。


 この人の裏の顔知ったら、イケメン好きでも夢から覚めてくれると思う。


 鼻息を荒くしてまくしたてるあたしとは正反対に、桐島さんは余裕の表情を浮かべているのが気に食わない。


 すっごく腹立つ!


 うちとした契約って、週4日で科目は主要科目全部、六時から九時までの三時間だから、破棄されたら相当痛いはず。


 なのに、なんでにやにや笑っちゃってんの!?


 そう思ってたら、桐島さんが爆弾を落とした。


 あたしを地中海深くに沈める気なのかってくらい、大きな爆弾を。

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