きらいだったはずなのに!
「まさか、裏口入門とか?」
怪しむような顔をして言う桐島さんに、それは違うって飛んでいきそうになるくらいに首を振って否定した。
裏口入門って、学校に高い寄付金とか渡すわけでしょ?
そんなお金、家にはない!
「だよな。おまえんち、そこまで金あるように見えないし」
その言葉に、ちょっといらっとする。
ほんとのことだけど、他人に言われると腹立つ。
じろっと睨んだら、桐島さんに「アホ面」って言われた。
……この人、とことんあたしのいらいらポイント突いてくる。
「で、なんでわざわざこんなレベル高いとこ選んだんですか~。茉菜ちゃん?」
うわ、気持ち悪い。
お母さんの前で“さん”づけで呼ばれるのはわかるけど、ふたりのときは名前でなんか呼ばないのに。
いつも“おまえ”って呼ばれるし。
茉菜ちゃんとか気持ちわる……。
汚いものを見るかのような目で見ていたら、「吐け」と鋭い眼光で脅された。
めんどくさいし怖いから言ってもいいかな。
全部なんて話すつもりないけど。