きらいだったはずなのに!

 ……友達は、多かった。


 毎日たくさん笑ってたし、嫌な思いをしたのは悠斗のことだけだ。


 だけど、本音を洗いざらい話せる友達が、いなかった。


 親友と呼べる人が、いなかった。


 この時、ミヤコちゃんとはじめて話して、やっぱりあたしとは正反対だなって思ったのは今も変わらない。


 だけど、この日。


 あたしはミヤコちゃんと親友になる、第一歩の言葉をもらった。


 彼女がその時言ったのは、「そんな男、あなたには似合わないよ」って、ただそれだけ。


 ふっと笑って、あたしをそっと抱きしめてくれた。


 その暖かい腕の中でぼろぼろ泣いたのを、今でもはっきりと思い出せる。


 名前で呼び合うようになって、学校で話すようになって、彼女の性格を知った。


 高嶺の花だと言われる彼女の、等身大を知った。


 あたしと何も変わらない、普通の女の子だった。


 毒だって平気で吐くし、淡々としてるし冷静で、ツンデレで。


 だけど、こんなあたしをいつでも心配してくれるミヤコちゃんが大好き。

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