きらいだったはずなのに!

「……いつまで見てんの。つーかおまえ、これ高校の分だけだろ。中学の時のテストとかはないの?」


 うわっ、見てること気付かれてた。


 中学のテストか。


 この前掃除した時にまとめておいたんだけど、どこにやったかな。


 そうだ、確かファイルにまとめて本棚に入れたような気がしなくもない。


 桐島さんの後ろにある、あたしの背より断然高いそれの一番上の段。


 そこに、見覚えのあるピンクのクリアファイルを見つけた。


 そう、あれだよ、中学の時のテストがまとまってるやつ。


 あそこにしまうの苦労したんだよね。


 勉強机とセットで置いてある、キャスター付きのくるくる動く椅子。


 それに乗って落ちそうになりながら、ほんっとうに苦労して入れたんだよ。


 ……それを、取り出せと?


「なにやってんだよのろま。さっさと出せ」


 頼んだらとってくれるかな、なんて一瞬考えたけど、今の言葉で無理だって悟ったよ。


 というか、地味にムカつくし。


 桐島さんになんか頼むもんか。


 なーんにも頼らない!


 ……あ、既にカテキョでお世話になってるんだったよ。

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