きらいだったはずなのに!

 これ以上頼るのなんていやだし、やっぱ自分で取るしかないか。


 ……めんどうだな。


「桐島さん、ちょっとそこどいてもらっていいですか。そこの本棚にあるんで」


 あたしがそう言うと、無言で横にずれた桐島さん。


 ……返事くらいできないの?


 そう思ったけど、まあいいや。


 さっさと取っちゃえばいいんだよ。


 落ちたらあれだね、桐島さんにダイブしよう。


 そしたらあたしは無事なはず。


 桐島さんは痛いかもだけど。


 ごろごろと転がしながら椅子を本棚の前まで持ってきて、そこによじ登った。


 おお、やっぱバランスとりにくい。


 揺れる、揺れるー。


 本棚のふちに手をかけてはいるけど、そんなの意味がないくらいに足元がぐらぐらでもう大変。


 ……背、もう少し高ければこんなことにならないんだけどね。


 ていうか、本棚がでかすぎるのが問題か。


 片手を離して、お目当てのものをつかもうとしたとき。


「は? おまえ、なにやって……。てか、パンツ」


「うえぇっ!?」


 突然下から聞こえた桐島さんの声にびっくりしてスカートを押さえたとき、本棚にしがみついていた手を離してしまった。

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