きらいだったはずなのに!
その瞬間、体がぐらりと傾いた。
椅子の上でバランスをとろうとすればするほど、不規則にがたがたと動く。
ああ、もうだめ。
ほんとに落ちるっ……。
桐島さんにダイブとか言ってる場合じゃなかった。
変な意地張らないで素直に頼んでおけばよかった。
体が宙に浮いて、次にくるであろう痛みにぎゅっと目をつぶった。
どんっと鈍い音をさせて背中から確実に落ちた。
……はずだけど、あれ?
全然痛くない。なんで?
目を開くと、天井。
落ちたの夢かと思ったけど、現実じゃん。
なんで痛くないんだ。
まさか、痛覚なくなった?
「おまえ、重い。つか、痛え……」
「んえっ!?」
耳元から聞こえた桐島さんの声で我に返った。
そういえば、やけに背中があったかいような?
そして、床にしては柔らかいような?
起き上がって、本気でびっくりした。
あたし、マジで桐島さんにダイブしちゃったらしい。