きらいだったはずなのに!

 やばい、本気でやばい。


 ほんの冗談のつもりだったんだけど、まさかほんとにこんなことになるとは……!


 お腹をさすりながらむくりと起き上がった桐島さんの表情は、俯いているから見えない。


 怒ってるのかな。


「き、桐島さんっ! ごめんなさ……っぶへえっ!!」


 痛い! なにすんだこの人!


 謝ろうとしたらその辺に散らばってた赤点の解答用紙を顔面にバチーンって、紙越しに思いっきり張り手されたんですけど!


 直接触りたくないってことか!


 ……ちょっと待って、これかなり痛いんだけど。


 顔面ジンジンするんですけど。


 これ以上ブサイクになったらどうしてくれるんだ。


 たしかに桐島さんの上に落ちたあたしが悪いけど、こんな仕打ちってあり?


 不慮の事故なのに。


「桐島さん、さすがにこれはひどい、痛いです! 落ちたあたしが悪いけど、そこまで怒らなくても……」

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