きらいだったはずなのに!

 いろんなことがぐちゃぐちゃで、じわりと目元が熱くなってくる。


 こんなことで泣くなんてあたしらしくない。


 最悪だ。


「ちょっ、おまえ泣いてんのか? どうした?」


 どうした、ってなんだよもう。


 なんなんだよ、この人。


 あたしの顔叩いたあと、不機嫌な顔してだんまりだったくせに。


 なんで、そんな心配そうな顔して見てるわけ?


 似合わないよ。


 皮肉った笑みでしかあたしを見たことないくせに、こういうときになんでそういう顔するの?


 というか、泣いてんのはあんたのせいだから!


 しゃくりあげる声なんか絶対聞かれたくない。


 泣き顔も見られたくなんかなかった。


 思いっきり歯を食いしばって、涙を流したまま睨みつけた。


 きっとあたしの顔は、さぞかしブサイクなことだろう。


 でも、睨むのはやめない。


 だって、ムカつくもん。

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